表紙へ戻る

編 集 後 記


 多摩川は、わが国の利水史上著名な玉川上水やニケ領用水等の貴重な遺産をかかえ、また直轄改修工事が始まってからでさえもすでに70年程の歴史を有している。しかしながら、現在これらの貴重な体験に関する記録が十分整備されているとは言い難く、これらに関する貴重な文献・資料等が散逸しつつあると憂慮されているところであった。
 近年、国民の価値観の多様化に伴い、河川事業に対する地域社会の要請も多様化してきており、これに対応する総合的な河川事業を推進していく上で、河川自体のみでなく、関係する地域社会まで含めて、その成り立ちから現在の姿に至るまでの経緯をより明確に把握しておくことが必要となってきた。特に多摩川は、わが国の代表的な都市河川であり、地域社会とのかかわりも強く、多摩川の全体像を把握するには、地域社会との関係を歴史的にとらえることが必要となった。多摩川誌の編さんにあたっては、単に治水面、利水面といった従来の河川事業的な側面だけでなく、流域形成にかかわる事項や自然環境、流域の政治経済、社会生活、風俗習慣、文化、レクリェーション、その他のエピソード等についても多摩川とかかわりあう部分について広く盛り込入、歴史的変遷を記した。昭和年54度から調査を実施し、執筆、編集等に7年をついやし、ようやくここに多摩川誌を刊行する。
 そこで、建設省京浜工事事務所では河川管理者の立場から、多摩川の全体像を把握し、今後の河川行政の参考に資するとともにより多くの一般住民に多摩川というものを広く知って頂き、河川を正しく理解して頂くために多摩川誌を編さんする運びとなった。
 長期間編集の任にあった編集委員に敬意を表すると共に、執筆者の各位、座談会に出席くださった方々、資料を提供くださった方に謝意を表する次第である。
 本書が、多摩川の案内書として広く愛読され、都市河川「多摩川」に暖かい目を向けてもらえることを願うと共に、将来本書を礎石として、さらに立派な第二、第三の多摩川誌の誕生を願うものである。

表紙へ戻る