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多摩川は関東山地南部に位置する雲取山(2,018m),大洞山(2,068m),唐松尾山(2,109m),笠取山(1,941m),倉掛山(1,777m),大菩薩嶺(2,057m)などで囲まれる地域に発する後山川,丹波川(一ノ瀬川,柳沢川,泉水谷なとが合流),小菅川などの水を集め,東へ流れて奥多摩湖に入り,小河内ダムを経て氷川で日原川(水源は雲取山)を合流し,青梅で山地から関東平野に出る.笠取山の南斜面に発する一ノ瀬川の谷頭から,東青梅駅南方の下奥多摩橋までの流路(河道)の長さは約64km(直線距離は約42km)である.
青梅から下流では多摩川は,その前身である旧多摩川が北東あるいは東へ流れて形成した,数段の河成段丘面から成る武蔵野台地の南縁に沿って流路を定め,草花丘陵,加住丘陵の北縁に沿って南東に流れ,この間に平井川(水源は日の出山902m),秋川(水源は月夜見山1,147m,三頭山1,527m),浅川(水源は陣馬山857m,堂所山731m)を合流し,さらに多摩丘陵の北縁に沿って東南東に流れ,武蔵野台地との間に幅1〜3kmの狭長な谷底平野を形成している.かくて,下丸子のガス橋(平間橋)付近で海岸低地に出て東に流れ,東京湾西岸中部に半径約7kmの円弧状三角州平野を形成して,現在,羽田で東京湾に注いでいる.下奥多摩橋から河口までの流路の長さは約61km(直線距離は約52km)である.
多摩川の現在の全流域面積は約1,240km2である.
多摩川流域の地形を概観すると,西から東へ山地,丘陵,台地,低地があって,地形は階段状に東に向かって順次低下している.これは,それらが関東平野の中央部を中心として同心円状に配列する関東地方の地形の特色が,その南西部を占める本地域の地形に現れたものであるとともに,また,各地形の構成層や形成時代の相違を示している.西部の山地は関東山地の一部であり,多摩川の源流部であるその西端部地域には,花崗岩類や石英閃緑岩が発達するが,他はすべて古生代や中生代の古い地層で構成され,丘陵,台地,低地は順次新生代のより新しい地層で構成されている.山地は多摩川の本・支流で壮年的に開析されていて,2,000〜1,000mの高度をもつ多くの山峰がそびえている.山地の中,下流部には山頂部に平坦面を残す峰もあり,山陵には比較的幅広くなだらかな尾根の続くところが多い.山地では河流は一般に下刻が盛んで,本谷も支谷もともに深いV字形の渓谷を形成していて,谷底は狭く,山腹は急傾斜するが,流路に沿い狭い河岸段丘を残存し,河床には砂礫の堆積する河原をみることが多い.
山地の東側には草花,加住,多摩の諸丘陵の他に,青梅から北東に延びて武蔵野台地の西縁と境する阿須山丘陵(加治丘陵)と,山地から離れて武蔵野台地の西部中央に孤立する狭山丘陵がある.これらの諸丘陵は300〜100mの高度をもち,いずれも壮年的に開析されているが,丘陵西部の脊梁尾根には,山麓の分岐尾根にみる下位平坦面に続く平坦面をみることが多い.以上の諸丘陵の中で特に広い面積をもつ多摩丘陵の地形面は,西半の高度230〜140mのT1面(多摩第一段丘面)と東半の高度100〜80mのT2面(多摩第二段丘面)との2段の段丘面に大別され,丘陵の段丘面対比の基準にされている.
阿須山,加住,多摩の各丘陵の東側には,それぞれ,武蔵野,日野,下末吉の台地があり,草花丘陵と阿須山丘陵との間には秋留台地がある.武蔵野,日野,秋留の各台地はそれぞれ,昔の多摩川,浅川,秋川が形成した扇状地性の河成段丘であるが,下末吉台地は海成の堆積段丘である.いずれも原面を広く残して開析はあまり進んでいない.これらの中で特に広い面積をもつ武蔵野台地は,西端の青梅付近で190m,北端の川越付近で15m,東縁の芝公園や池上の本門寺付近で20m内外の高度をもち,台地面は北東や東に向かって緩やかに傾斜し,旧多摩川が青梅を頂点として放射状に流れて洪積世後期に形成した,3〜4段の河成段丘の発達の跡をとどめている.これらの段丘面は段丘堆積物の上に乗る関東ローム層との関係からS面(下末吉段丘面),M面(武蔵野段丘面),Tc面(立川段丘面)などと呼ばれている.現在の川や海が形成した沖積低地には谷底平野,三角州平野,海岸低地などがある.多摩川の谷底平野は平井川が合流する福生付近から下流に発達し,福生から溝口付近までは扇状地性の平野をなし,溝口から下丸子付近までは自然堤防帯型の平野をなしている.これより下流には三角州平野が発達している.武蔵野台地の東縁は高さ15m内外の段丘崖をなし,その下に東京の下町の低地と呼ばれる沖積低地が発達している.