2.2 中生界
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2.2.2 ジュラ系

 多摩川の上流地域に分布しているジュラ系は,小河内層群,氷川層,五日市層群の3つであって,これらはすべて上部ジュラ紀と考えられている鳥ノ巣石灰岩を挟んでいる.

(1)小河内層群

 奥多摩湖を中心として広く分布している地層群である.多摩川の本流に沿う谷では,奥多摩町シダクラ沢の落口付近から上流へ,鴨沢までの多摩川両岸によく露出している.本層群の各層の大要を下部から上部へ述べる.図2.3.2(分布図)と表2.3.1(化石表)における化石産地の番号は一致している(藤本・鈴木道夫外1955による).

 @船久保層 本層は小河内層群の最下部層であって,小河内層群の分布の最も南西側に位置している.本層の南限は五日市−川上線の一部をなす断層によって断たれていて,その南側に分布している小仏層群と接している.

 主として砂岩からなり,粘板岩・チャート・礫岩,鳥ノ巣石灰岩を挟んでいる.礫岩は厚いものが2層あって,下位のものは厚さが約100mある.

 一般走向は70°北西,傾斜は北東へ80°が多い.鳥ノ巣石灰岩は船久保の峠(25)と白岩沢(26)との2個所にあって,(25)では Spongiomorpha その他,(26)では Chaetetopsis 等の珊瑚化石が得られた.本層の厚さは約1,200mである.

 A倉掛層 船久保層の上位に重なりその北東側に分布している地層で,砂岩と頁岩との互層からなり,礫岩・チャート・鳥ノ巣石灰岩を挟んでいる.一般走向は北60°〜70°西,傾斜は北東へ70°〜80°を示す.本層にはさまれている礫岩は,石灰岩の細礫〜人頭大の円礫を主としていて,白岩沢の落口の上流側,その他2個所に現れている.この石灰岩の礫からは化石は検出されなかった.

 鳥ノ巣石灰岩の産地は,No.(27),(28),(29),(30)の4個所である.これらのうち,(27)の倉掛西方のものは化石が密集している.倉掛層の厚さは約1,500mである.

 B小袖層 小河内層群の分布のほぼ中央部に広く分布している地層である.主として頁岩または粘板岩からなり,砂岩,チャート,石灰岩,まれに輝緑凝灰岩を挟む.砂岩は一部では粘板岩との互層をなしているところもある.

 本層は多摩川の支流の峰谷川,小袖川などによく露出している.鳥ノ巣石灰岩は(31)〜(42)の12個所で確認されているが,暗褐色泥質のものと黒灰色泥質のものとの2つのタイプがあって,暗褐色のものは本層の下部に,黒灰色のものは上部の層準に,それぞれ多い.産出する化石にはあまり違いは認められない.

 産出した化石は別表の通りで,層孔虫,六射珊瑚,床板珊瑚,スポンギオモルファ珊瑚,石灰藻,有孔虫(Pseudocyclammina sp.その他)等である.

 小袖層の一般走向は北60°西で,傾斜は北東へ60°〜80°を示しているが,分布の中央部では南西へ70°前後傾くところがあって,小規模な褶曲構造を呈している.本層の厚さは約1,600mである.

 C中山層 小河内層群の最上郡の地層であって,小河内ダム堰堤付近から下流のシダクラ沢の落ち口付近まで良く露出している.主として,砂岩と粘板岩とからなり,石灰岩のレンズを挟んでいる.鳥ノ巣石灰岩はシダクラ沢落ち口の対岸・(43)と栃寄・(44)との2個所にあって,Stylina sp.その他の珊瑚類や層孔虫の化石を産している.本層の一般走向は北40°〜50°西,傾斜は北東へ70°が多い.厚さは約2,100mである.

(2)氷川層

 奥多摩町氷川を中心として,ほぼ北北西−南南東に細長い帯状をして分布している.分布の幅は氷川付近が最も広くて約1.5kmあり,他の地域では平均して約1kmの分布の幅をもっている.氷川層は,この帯状分布を北東−南西に横断している2枚の断層によって2個所で断たれていて,北部は奥多摩除野から北の倉沢を中心とする地域に,中部は氷川付近とその南の大沢に,南部は北秋川の支流の赤井沢に沿う谷に,それぞれ分布している.(写真2.3.10 檜原村赤井沢の支谷オキオト

 氷川層は主として砂岩と頁岩とからなり,薄いチャートと石灰岩とを挟んでいる.石灰岩には鳥ノ巣石灰岩が多い.その産地は,赤井沢の支谷のウサギ沢Lをはじめとする(24)までの12個所である.これらの鳥ノ巣石灰岩はすべて厚さ20m〜30mのレンズ状をなしていて,層孔虫・珊瑚類・石灰藻を多数含んでいる.図表からは省略したが,御前山古生層の分布区域の中の奥多摩町琴浦橋の下と,その上流側の多摩川の河床上とに,鳥ノ巣石灰岩がある.これらは断層によって,古生層の中に引きこまれたものと解している.

 氷川層の一般走向は北部で北60°西,中部と南部では北40°〜50°西,傾斜は全体として60°〜70°南西または北東で,1背斜を形成している.

(3)五日市層群

 五日市層群は関東山地に分布している鳥ノ巣層群のなかでは最も北東側に分布している.その分布は五日市町から北西方へ,御岳山をへて鳩の巣方面に延びていて,幅約1.5kmの帯状の分布をなしている.五日市町から南東方へは,八王子市川口町方面に延びて分布している.

 五日市層群は化石と岩相とから上部と下部とに分けて考えことができる.

@下部層 秋川の支流養沢川の上流部から御岳山,鳩の巣方面へかけて分布している地層で,砂岩と頁岩からなり,厚いチャートと薄い礫岩とをはさんでいる.最近,鳩の巣渓谷の本層のチャートから三畳紀を指示するコノドントが発見されたので,下部層に鳥ノ巣石灰岩を欠くこととも考え合わせて,五日市層群の下部は三畳紀にまで至るものと考えている.一般走向は北40°〜60°西,傾斜は北東へ80°〜90°である.下部層の厚さは約1,800mである.

A上部層 五日市町を中心として,北西方へは養沢川方面へ,南東方へは八王子市川口町方面へ分布している.砂岩と頁岩とからなり,鳥ノ巣石灰岩,チャート,薄い礫岩を挟んでいる.鳥ノ巣石灰岩は,産地No.@の川口町日向ヶ谷戸から深沢Kまでの12個所に分布している.これらの産地のうち,深沢,樽などのものは古くから知られているものである.

 上部層の一般走向は南部の川口町方面で北80°西,北部の養沢川方面では北60°西,傾斜は50°〜80°南西または北東であって,一背斜を形成している.上部層の厚さは約1,200mである.

 以上の,鳥ノ巣層群について,その層序を対比してみれば表2.3.2のようになる.



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