| 前のページに戻る | 次のページを見る | 目次に戻る | 表紙に戻る |
砂利は前述したように,鉄道線路敷や道路の「バラス」とコンクリート材として多く用いられるが,特にコンクリートは建築物や橋梁をはじめ多方面に用いられ,都市で消費される量が極めて多い.加えて価格が安いうえに重量物であるため輸送費の負担率が高く,したがって輸送距離が短いほど有利である.そのため砂利採取地は,大消費地に近接していることが重要な条件であり,輸送の便がよいことも必要となる.砂利採取業が大都市と河川を結ぶ,鉄道会社によって行われたことはその証拠といえる.さらに採取の機械化が進んでからは,機械掘に適した鉱区であることも必要となった.砂利の堆積層が厚いこと,河床が平坦であることが重要であった.蛇行する河川の屈曲部の内側から下流にかけた地域や,狭隘部から急に開けた広い場所などが,これらの条件を満たす適地であった.
雲取山,鶏冠山,大菩薩嶺付近に源を発し,峡谷を刻んで青梅市で平坦地に出た多摩川は,そこから下流に大量の土砂を供給し,砂利を堆積した.それは河川敷のみならず,のちの堤内地における砂利の大量採取をも可能にしたのである.多摩川は砂利採取地としての十分な成立条件を備えていたといえる.