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河川砂利の採取は,長い間手掘りによって行われてきた.関東大震災後に至って機械化が大いに進み,採取船が出現して生産量も大幅な伸びを示すのであるが,しかしこの時期にあっても手掘りは主に小零細業者によって行われた主要な採取方法であった.砂利の採取方法は,その使用目的によって異なり,通常3つに区分される.すなわち鉄道線路用のものは一般に「切込砂利」と呼ばれ,道路用砂利は「普通砂利」(「精選砂利」ともいう),コンクリート用は「洗砂利」と呼ばれている.
一方砂利と一口にいっても,その大きさはまちまちであり,大きさによって使用目的も異なる.石の大きさが25cm以上の大きなものは「転石」と呼ばれ,それより小さな砂利は「玉石」(約13cm以上)と呼ばれ,それらが大小混じったものを「玉砂利」と呼んでいる,これより小さなものが「小石」で,この小石が一般に砂利といわれるものである.これはさらに「大砂利」(6.4cm以上),「中砂利」(3.2cm以上),「小砂利」(2mm以上)に分けられる.そして大まかにいえば,大砂利が主に線路用に用いられ(切込砂利),中砂利は道路用(普通砂利)に,小砂利はコンクリート用に用いられる(洗砂利).コンクリート用の砂利は,付着している泥がよく落ちるよう洗浄する必要がある.したがって砂利は採取すればよいというだけのものではなく,大きさをそろえるためにふるい分けることと,洗砂利を得るために洗浄することが必要となってくる.
切込砂利を得る方法は簡単で,河原の砂利をショベルで集めるか,あるいは水中の砂利を「鋤簾(じょれん)」と呼ばれる竹竿の先に砂抜きの小孔を開けた鋤を付けたもので採取し,これを「万石」と呼ばれるふるいにかけて砂泥を落とすだけである(図5.3.5).この万石には単に一種類の大きさの砂利を得るだけの簡単なものから,何種類かの大きさの砂利を区分できるものまで,各種のものが考案されていた.こうして大きさの異なる砂利が混じり合ったものをふるいにかけ,所要の大ききにそろえたものが普通砂利(精選砂利)である.洗砂利は砂利を洗浄して得られるもので,洗浄は次のような各種の方法で行われた.@最も簡単なものは万石で選別した砂利に,石油缶で水をかけて洗うだけのもので,この方法は多摩川で多くみられたという.しかしこうして得られた洗砂利は,水を3〜4回かけただけのものが多く,そのため砂泥は完全には落ちず,良質なものとはいえなかった.A水溝による方法;砂利州の中に幅1.2〜1.5m深さ1.5mの溝を掘り,これに本流の水を引いて行う方法である.砂利州の砂礫を鋤簾で集めてふるいにあげ,このふるいを水中で動かし,洗浄とふるい分けを同時に行うものである.このふるいは網目の異なる2枚から成り,2種類の大きさの砂利を得ることができる.この方法で1人1日約2.5tの洗砂利を得ることができた.B小船による方法;これは「ベカ」と呼ばれる平船の採取船を引いた人夫が引鋤簾で砂利を集め,水中で洗いながら砂利を均一化するか,あるいはこれを2種類のふるいでふるい分けし,ベカに積み込む方法である.ふるい分けられた砂利は,12〜25t積みの本船に移され市場へ輸送された.この方法で1日1人当たり3t内外の砂利が採取された.C木樋と引き水による方法;砂利州に溝を掘って本流から分水し,ここに木樋をおく方法である.木樋のところどころには網目の大きさの異なるふるいが取り付けられており,傾斜に沿って砂利が流下する間に洗浄され,同時にふるい分けられる利点がある.手堀りによる洗砂利の方法としては,最も進んだものである.しかしその設置には技術を要し,10°〜13°の傾斜を設定することが最も大切で,水量にも技巧を要したという.また設置費用がかかるうえに,洪水で流されることもしばしばあり,個人で設置するのは困難であった.1組の樋に採取人夫2人,砂利・砂の汲取りに1人,トロリー運搬人夫1人の計4人を必要とし,互いに連繋を取りつつ行うもので洗浄能力は高く,この方法で1日8tの洗砂利が得られたという.多摩川では拝島付近に多くみられた.水勢の強い上流部で行われた方法であった.E以上の他にトロリーに積んで発送駅まで運搬する途中で,特設の洗浄場で洗う方法もあった.しかしこの方法では,砂泥が完全に洗い落とされるとは限らず,良い洗砂利が得られるとは限らなかった(参21).