| 前のページに戻る | 次のページを見る | 目次に戻る | 表紙に戻る |
上流地域の資料としては,わずかに青梅市内の37話が挙げられるだけである.この昔話の資料は,青梅市緊急民俗資料調査を通じて,同市御岳山および今井で得られたもので,同市教育委員会の『青梅の民俗』では,高橋孝昌の「口頭伝承」にまとめられている(参6).それらの昔話を通じて,おおむね断片化の傾向を示しており,発端および結末のことばは,ほとんど消滅の状態を呈している.しかも,一応37の話数が採られているが,本格昔話および動物昔話にわたって,わずかに8つの話型にとどまり,「桃太郎」「花咲爺」「猿蟹合戦」「かちかち山」など,いわば御伽噺風のもので占められている.そこでは,「桃太郎」の桃が川上から流れてきたといい,「かちかち山」の狸が川中に沈んでしまったといっても,特に多摩川との関連を示すものとはいえない.