3.3 下流地域
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3.3 下流地域

 下流地域の資料として,川崎市幸区矢向では,最願寺のご本尊が,白衣の観音像であって,多摩川の川岸に流れつき,夜中に御光を放っていたという(参65).また,同市川崎区砂子では,宗三寺の裏の沼に,大きな亀が住んでいた.ある年の洪水に,この亀がその沼からはい出して,多摩川に入り込むと,その沼がたちまちひ上がったと伝えられる(参66).

 大田区矢口町の新田神社には,新田義興の霊がまつられている.この義興という武将は,13人の従者とともに,矢口の渡しを渡ろうとしたが,頓兵衛という船頭にあざむかれ,船底の栓を抜かれて,川の中に沈められてしまった.その霊がたたりを現して,ついに神にまつられたというものである.同区下丸子の頓兵衛地蔵も,その供養のために,頓兵衛によって建てられたと伝えられる.その像が崩れているので,またトロケ地蔵とも呼ばれている(参67).なお,大田区下沼部でも,密蔵院の庚申様の像は,川掘りの人夫によって,多摩川の川底から掘り出されたという(参68).



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