1.2 獅子舞
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1.2 獅子舞

 多摩川流域には郷土芸能として獅子舞を演ずる地域が多い.特に上流の奥多摩地域には広く分布している.

 雌獅子1,雄獅子2の組合わせで舞われ,歌がつくという三匹獅子の形をとるものが多く,楽器としてササラ・笛が使用され,青梅市の市域だけ例をとってみても,下長淵で9月19日の鹿島玉川神社の例大祭に行われるもの,友田の御岳神社の氏子によって9月29日に行われるもの,野上の春日神社で10月9日の例大祭に行われるもの,下(しも)で地区の青年によって7月15日に行われるもの.沢井下分の字塚瀬・大平・宮の腰の人びとによって,7月25日(現在は25日に近い日曜日)の八雲神社の例大祭に演ぜられるもの,上成木下分大蔵野の人びとによって10月9日に成木神社の社前で行われるもの,上成木上分の人びとによって4月8日,高水山不動堂の堂前で行われるものなどがある.

 青梅市の市域にはもう1つ大神楽獅子と呼ばれている,二人で一匹の獅子を舞わせるものも見られる.二俣尾と沢井下分のうちの字峯の出・平溝の人びとによって,5月5日の天之(てんの)社の祭りに各村落を廻り,そのあとで社前で舞うもの,御岳字払沢の人びとによって7月8日の八雲神社の祭りに,社前で舞い,村落内を一巡するものがある.

 さらに上流の奥多摩町でも三匹獅子舞は多く,前記の小河内金御嶽神社の獅子舞のほか,最奥の小留浦の花入神社で,7月15日(今はその前後の日曜日)の祭礼に行われる峰の獅子舞,川井の八雲神社の祭礼で4月29日に行われる三匹獅子舞,海沢の海沢神社の祭礼で8月第1日曜に行われる三匹獅子舞があり,そのほか8月には氷川の奥氷川神社の祭礼(8月10日),白丸の元栖神社の祭礼(8月16日に近い日曜日),境の白髭神社の祭礼(8月16日),棚沢の熊野神社の祭礼(8月第3日曜日),日原の一石山神社の祭礼(8月24日),氷川の山祗(やまつみ)神社・根元神社の祭礼(ともに8月第4日曜日),大丹波の青木神社の祭礼(8月最終日曜日)などで三匹獅子舞が演ぜられる.

 中流域にも三匹獅子舞は多い.昭島市では中神で熊野神社の9月29日(現在は8月第3日曜日)の祭礼で演じられるし,その対岸の八王子市でも美山町の琴平神社が4月の第2日曜,小津町の熊野神社が8月16日に近い日曜日,諏訪町の諏訪神社が8月26日に近い土・日曜日,上川町の田守神社が9月第1日曜日,上川町の今熊神社が9月9日に近い土曜・日曜日,石川町の御岳神社が9月19日に近い日曜日と,それぞれの祭礼日に演ぜられている.また立川市では柴崎町の諏訪神社の8月27・28日の祭礼に柴崎の人々によって三匹獅子舞が演ぜられるし,国立市の谷保(やほ)天満宮の9月23日の祭礼,稲城市矢野口で穴沢天神社の8月25日の祭礼,同市東長沼では青渭(ぬま)神社の10月1日の祭礼,調布市富土見町では八幡神社の10月第1日曜の祭礼で演じられている.

 下流域にも獅子舞の集中傾向が見られる.川崎市多摩区菅では8月22日に菅薬師の獅子舞が薬師堂の境内で行われ,のち町内の所定の場所で舞う.高津区菅生の初山地区では10月3日の菅生神社の例大祭で,初山地区の人々によって行われる.近年は10月第1日曜日に変わっている.幸区小向では8月の第2日曜の八幡神社の例大祭に行われている.この小向の獅子舞は第二次大戦中一時中断したが,1951年(昭和26)復活したものである.このほか幸区の南河原では毎年7月7日に雨乞い獅子と呼ばれる獅子舞が行われたが,大正年間に廃絶している.これらの獅子舞はいずれも三匹獅子舞である.

 対岸の東京都大田区では六郷地区で鎮守六郷神社の6月第1日曜の例大祭で,境内と町内の要所要所で,六郷獅子舞と呼ばれる子供の三匹獅子舞が行われている.

 川が文化の伝播をもたらすという事実を,よく示している事例である.



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