4.1 多摩川流域のレクリエーション地の発達と分布
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4.1.2 レクリエーション地の分布と特色

 多摩川流域のレクリエーション地の分布をみると(図8.3.36),まず源流・上流地域は全域が秩父多摩国立公園に属していて自然景観にすぐれている.源流部分の山梨県側の山中はモミ・ツガなどの原生林とカラマツの人工林で覆われ,その間を渓谷が刻んでいて探勝に適する.また,雲取山や大菩薩嶺への登山にもよい.東京都奥多摩町に入ると小河内ダムの作る奥多摩湖が観光拠点をなし,奥多摩有料道路によって秋川水系と連絡して奥多摩の周遊が可能となった.それゆえ,渓谷沿いでのキャンプや釣りによって特色づけられていた奥多摩は,自家用車や観光バスで来訪する観光レクリエーション客が増えて,ドライブインや休憩施設など通過客相手の観光業が発展してきた.

 上流部では,御岳神社がいま1つの観光拠点をなし信者や登山・レクリエーション客でにぎわっている.

 中流地域では丘陵上が広く都立自然公園に指定されていて,手軽なレクリエーションの場となっている.羽村草花丘陵・秋川丘陵・滝山・多摩丘陵などの都立自然公園には遊園地やゴルフ場が集中していて,その周辺地域をも含めて日帰りレクリエーション地域を形成している.八王子市の西郊の山地は,明治の森高尾国定公園と高尾陣馬都立自然公園となっていて,特に京王電鉄高尾線が延長されて高尾口まで直通で行けるようになったので,レクリエーション客は著しく増え,東京西郊の一大観光レクリエーション地をなす.

 中流から下流地域においては,現在では河川敷のレクリエーション利用が多く,公園や緑地・運動場となっていて,下流ではゴルフ場にも利用されている.流域の武蔵野台地上でも,各種の公園が整備されていて日帰りレクリエーション地となっているのである.

 表8.3.36は上流地域と中流の一部における観光レクリエーション客の特色をみたものである.1975年(昭和50)のこの地域の観光レクリエーション客の数は約800万人で,そのうち奥多摩町が25.3%を占めて最も多く,以下高尾山を含む八王子市21.5%,青梅市18.0%,五日市町13.9%,秋川市12.9%などが10%以上で比較的多くの客を集めている.奥多摩町は遊覧客が53%で多く,いわゆる観光地域としての性格が最も強い.釣り・ハイキング・登山客にも特色がみられる.八王子市ではハイキング・登山が中心で,遊覧・行事などがこれに次ぎ,青梅市では遊覧のほかに吉野梅郷の花見客が26%でこの地域を特色づけている.五日市町は秋川での川遊び・釣り・キャンプ・林間学校などの利用に集中し,秋川市ではサマーランドの遊園地入場者が圧倒的に多い.檜原村も奥多摩有料道路が開通して,数馬のカブト造り民家では山菜・川魚料理を食べる観光客で盛況を呈するようにもなり,川遊びやハイキング客も増えている.これに対して,羽村町や福生市など多摩川中流域の市町では,観光資源性に劣るために観光レクリエーション客は少なく,それも河川敷利用が中心をなすのである.

 そこで中流から下流域の観光レクリエーションを特色づける河川敷のレクリエーション利用についてみると,図8.3.37のようである.一般に下流部ほどレクリエーション客数は多くなり,春季ほど夏季よりも利用者数が多い.しかし,水面の利用者数は当然のことながら夏季に集中する.1979年(昭和54)5月3日の休日に多摩川河川敷を利用したレクリエーション客は,調査時間1時間で約2.9万人に及び,いかに多くの人々が多摩川を憩いの場としているかが明らかとなる.春季には特に右岸下流の多摩水道橋〜二子橋間と多摩川大橋〜大師橋間など川崎市域内で利用者が最も多く,夏季にはこれに加えて左岸下流二子橋〜丸子橋間の利用者が最も多かった.

 春季では休養のために多摩川原の公園や土手に来た人がほとんどの区間で1位にあり,夏季には下流で野球やゴルフなどの運動,中流では散歩・水遊びを目的としたレクリエーション客が多くなる.永田橋より上流では水遊びのレクリエーション客が特化している.こうして河川敷のレクリエーション利用形態は,河川敷空間の広狭性と施設の整備状況,さらに沿岸地域の人口集積度などによって地域的に異なっているのである.



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4.1 多摩川流域のレクリエーション地の発達と分布