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秩父多摩国立公園の利用者数は,環境庁の統計(参98)によると,1965年(昭和40)の450万人から1978年(昭和53)には1,020万人へと大幅に増加した.そのうち東京都分は約1/3を占めている.これは東京に近いことから面積比以上に利用者が多くなっている.
ここで多摩川上流市町村のレクリエーション客の利用交通機関をみると,自家用車が圧倒的に多くて約70%に近い比率を示し,国鉄の21%を大きく引き離している(表8.3.37).自家用車の普及が奥多摩の日帰りレクリエーション客を増加させてきたのである.表8.3.37の7市町村の中では,奥多摩町のレクリエーション客が最も多く,青梅市と五日市町がこれに次いで年間100万人以上を示している.他の町村はいまだレクリエーション客は少なく,前3者とは大きくへだたりがある.
奥多摩町へのレクリエーション客は,奥多摩湖と御岳神社の遊覧やハイキング及びキャンプ・釣りが中心であるが,青梅市では遊覧や花見,秋川水系の五日市町では川遊び・釣り,檜原村では川遊び・味覚観光,日の出町ではハイキング・登山とそれぞれに特色をもっている.いずれも多摩川流域の水と緑を基本的な観光対象としているが,観光資源性の違いと地域の側の観光レクリーェション開発のあり方,さらに交通の便などの諸条件が重なって,同じ奥多摩地域の市町村における観光レクリエーション客の特性に差異がみられる.それは宿泊形態にもよく表れており,奥多摩町ではキャンプ客が40%をも占め,他市町村とは異なっている.しかし,宿泊率はどの市町村も10%未満にすぎないなかで,五日市町が12%を示して比較的高率である.
ここで1978年(昭和53)の夏季と秋季における奥多摩観光レクリエーション客の実態調査結果(参99)により,その特性をみることにしたい.まず,国鉄駅の降車レクリエーション客数をみると,7月29日(土)では御岳駅は1,300人,全降車客数に対するレクリエーション客の比率は88.3%,奥多摩駅は1,968人,86.8%としクリェーション客率が高く,10月28日(土)でも御岳駅は424人,80.8%,奥多摩駅は546人,52.1%となっていて,レクリエーション客数は夏季に比べて秋季が少なくなるものの,レクリエーション客率はかなりの高率を維持している.一方,武蔵五日市駅でも7月29日に3,350人のレクリエーション客を数え,10月28日では703人に減ったが,レクリエーション客率は64.4%を示していて,週末にはしクリエーション客が増えるのである.
次に観光地別にレクリエーション客の入込み状況をまとめると(表8.3.38),夏季には奥多摩町の日原鍾乳洞でレクリエーション客が圧倒的に多い.マス釣り場では,奥多摩町の大丹波国際虹マス養殖場と五日市町の秋川国際マス養殖場が有名で客が多く,日の出町の自然休養村さかな園もかなりの客を集めるようになっている.通過客を含めた入込み客数では五日市町の秋川渓谷十里木が多く,御岳ケーブル駅,御岳渓谷,奥多摩湖畔などいずれも夏季の3日間に4,000人以上の客を集めている.しかし,秋季では奥多摩湖畔,御岳ケーブル駅でそれぞれ夏の客数の1/2〜1/3に減っているのであり,夏季と秋季の格差が著しいのである.宿泊客についても同様で,奥多摩町や五日市町では,夏に宿泊客の60〜70%がキャンプ客であり,檜原村では民宿のウエイトが高くなる.そして秋季には各地とも旅館の利用率が高まる.
ここで御岳ケーブルと奥多摩湖畔のレクリエーション客の特性をみると(表8.3.39),両者ともに男性が夏季・秋季に共通して多く,秋季ほどその比率が増加する.年齢層では青少年が過半数を占め,宿泊数では御岳の場合,日帰りが夏に60%程度で宿泊率が比較的高いが,秋季には90%となっていて,この傾向は夏季の比率に若干の差異があるものの奥多摩湖畔でも同様である.
周遊ルートにおける立寄り地点の数では,御岳では1個所が夏・秋季とも70〜80%と高いが,奥多摩湖畔では夏季は1個所が46%にすぎず,周辺観光地との結合が強められており,秋季には70%へと変化している.交通機関は御岳では自家用車・鉄道・バスなど多岐にわたっているのに対し,奥多摩湖畔では周遊に便利な自家用車が80%を占める.秋季のみであるが,レクリエーション客の住所をみると,両者ともに東京都内が70〜80%を占め,御岳では東京23区内,奥多摩湖畔では23区を除く東京都下にウエイトがある.奥多摩はまさに東京都民の憩いの場として機能しているのである.
奥多摩有料道路通過客は奥多摩口・檜原口ともに約30万人で合計60万人のレクリエーション客の入込みがあり,4〜11月までに多く,特に5・8・10・11月に集中する.主な観光地点のレクリエーション客の季節性をみても(図8.3.39),御岳渓谷にある玉堂美術館は奥多摩有料道路と同様のピークを示し,吉野梅郷にある吉川英治記念館では梅の花見が盛りの3月に24%が集まる.御岳ケーブルは5・8・11月に多く利用され,日原鐘乳洞は8月に31%ものレクリエーション客が訪れる.以上のように,奥多摩のレクリエーション地は一般的には5・8・11月にピークがあるものの,4〜11月までの長い期間にわたって,多様なレクリエーションに利用されているのである.