4.3 中流地域のレクリエーション地
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4.3.2 都立自然公園

(1) 高尾陣馬都立自然公園

 高尾山を中心とする明治の森高尾国定公園を取り巻いて,高尾陣馬都立自然公園が指定されている.八王子西部の山地に面積4,403haにわたって展開しており,1950年(昭和25)11月25日に指定された.高尾山から小仏峠を経て陣馬山へかけてはハイキングゴースとして知られる.陣馬高原はサクラの名所,ススキの原でもあり,山の家もあって宿泊可能である.

 裏高尾町の北方,標高446mの地点に八王子城跡がある.1573年(天正元)に北条氏照が武田氏の攻撃に対抗するために築いたもので,滝山城より移って八王子城としたのである.しかし,1590年(夫正18)に豊臣側の攻勢にあって落城し,現在は本丸・二の丸・三の丸や石垣の遺構が残されている.その麓に城の守護神八王子権現を祀った八王子神社があり,さらに高尾町への入口に,氏照が武田警備のために設けた国指定跡の小仏関所の跡がある.北浅川流域の八王子市上恩方町には,甲州裏街道佐野川往還の口留番所跡や中村雨紅の「夕やけ小やけ」の碑がある.

 公園区域の東に接して,1927年(昭和2)に造営された大正天皇の多摩御陵があり,野鳥・昆虫や植物の宝庫をなしている.御陵に至る参道には玉砂利と120本の北山スギの並木が見事な調和を保っており,さらに御陵に関係して甲州街道沿いにも4kmにわたって800本のイチョウ並木が形成された.このように,この自然公園には特に史跡が点在していて,静かな自然環境とマッチしてよい散策の場となっている.

(2) 羽村草花丘陵都立自然公園

 青梅市・福生市・秋川市と羽村町にまたがる面積553haの自然公園で,1953年(昭和28)3月12日に指定された.多摩川が中流にさしかかった右岸の川原と標高200〜280mの丘陵地を中心に展開している(図8.3.41).丘陵の中央部をゴルフ場が広く占拠しているが,その東側には羽村草花丘陵ハイキングコース3.5kmが設定されていて,秩父連山や富士山を眺望できる.このコースにはアカマツ・クヌギ・ナラなどの雑木林が続き,自然がよく残されている.

 多摩川には玉川上水の取水に羽村堰がかけられており,近世初期の1654年(承応3)にこの地点から43km離れた江戸へ飲料水を送った玉川上水が引かれた.この堰の近くの公園に,その工事をすすめた功労者玉川庄右衛門・清右衛門兄弟の銅像があり,また,堰の取締りのための羽村陣屋跡があって,多摩川の水の重要性を知り得る.近くに都指定天然記念物の高さ24mもの羽村橋のケヤキ,羽村駅東には,軟弱地層をカタツムリのように掘り下げた井戸掘り技術が保存されている都指定史跡の「まいまいずの井戸」がある.羽村土手には2,000本のサクラ並木が続き,福生市にはケヤキ並木がみられる.観光施設としては羽村町に動物公園があって,遊園地として家族連れに利用されるが,多摩川沿いにはフィッシングセンターも各所に開設されている.

 この公園の南部を流れる平井川をさかのぼると,日の出町に農業構造改善事業の一環として設けられた自然休養村センターやタケノコ狩り園など,地域農業を生かした観光レクリエーション地化がみられる.

(3) 秋川丘陵都立自然公園

 八王子市・秋川市・五日市町に層する面積1,335haの自然公園で,1953年(昭和28)10月1日に指定された.公園区域の西端は秩父多摩国立公園に接し,東端は滝山都立自然公園と境している.秋川南岸の標高200〜300mの丘陵地には2個所のゴルフ場が開かれていて,その間をぬってハイキングコースが設定されている.五日市町内の弁天山公園はツツジの山として知られ,頂上は眺望によい.その麓に1軒宿の網代温泉があり,高尾地区には6,000本の紅白の梅が咲く五日市梅林が観光ポイントともなっている.今熊山山腹にはフィールドアスレチック場がある.

 秋川に沿っては,まず,右岸川原に面して東京サマーランドの大遊園地が造成されていて,プラスチックの大ドームにはプール・熱帯植物園・大浴場があり,スケート場・キャンプ場など各種のレジャー施設が整備されている.近くに都指定天然記念物の六枚屏風の土柱や秋川左岸に西秋留石器時代住居跡もあり,学術上も貴重である.五日市町の秋川渓谷に沿って多数のキャンプ場が開かれており,国民宿舎・青年の家・青少年旅行村などの公的観光施設が整備されている.

 秋川市の五日市線沿線には,イチゴ園やイモ掘り・栗拾い・梨狩りなど各種の観光農園が発達してきた(図8.3.40).秋川市では1960年(昭和35)代中ごろから五日市街道沿いでトウモロコシの露店販売が始まり(70〜100個所,参加農家210戸),1975年(昭和50)にサツマイモ掘り(22戸,2ha),1976年(昭和51)に栗拾い(7戸,25ha),1977年(昭和52)に梨狩り(2戸,40a),1978年(昭和54)にイチゴ区画販売(6戸,360区画,2.4ha)などの観光農業が次々に推進されてきた(参100).秋川市とは秋川市観光農業推進協議会が設立され,奥多摩観光との結びつきを強めている.

 サツマイモ掘りは1980年(昭和55)に幼稚園や小学校の団体など1.5万人を集めた.イチゴ狩りは6.6m2で50株を1区画とし,これを4,000円で販売するもので家族連れの利用が多いのである.

(4) 滝山都立自然公園

 八王子市北部の丘陵にあり,多摩川と秋川の合流点に面する自然公園である.面積は661haで,1950年(昭和25)11月7日に指定された.多摩川と断崖でへだてられた丘の上に国指定史跡の滝山城跡がある.1521年(永正18)大石定重が築いたのに始まり,後に小田原北条氏より養子を迎え,1573年(天正元)に北条氏照が八王子城を築いて移ったので廃された.武田の軍勢を避け得た強固な山城として知られ,東西990m,南北810mの城跡には本丸・二の丸・三の丸などの遺構がある.一帯は一目七千本といわれるほどのサクラの名所であり,5月にはツツジの花もきれいで花見客が訪れる.近くに北条氏照開基の小林寺や,北に大石氏が滝山城へ移る前の居を構えた高月城跡もあり,国民宿舎も設置されている.

 滝山城跡下の多摩川の川原は,八王子が管理する19haの滝が原運動場となっていて,野球場・サッカー場・陸上競技場などがあり,1980年(昭和55)には年間21.3万人もの市民がレクリエーションに利用したのである.

(5) 多摩丘陵都立自然公園

 八王子市西部から日野市・多摩市へかけての多摩丘陵上に広がる自然公園である.面積は1,959haで,1950年(昭和25)11月25日に指定された.公園区域に接して電鉄線が走っており,第二次世界大戦後は公園内の住宅地開発が著しく,自然公園というよりはむしろ住宅地域といった観が強くなっている.

 公園内には最大の観光レクリエーション地でもある多摩動物公園をはじめ,多摩テック・平山城跡公園・百草園・桜ケ丘カントリークラブなどが点在していて,緑地を残している.平山城跡公園は鎌倉時代の豪族平山秀義の居城跡で,野猿峠へかけてのハイキングコースの拠点をなしてきたが,近年ではハイキング客も少なくなっている.平山城跡から自動車関係の遊園地・多摩テックを経ると多摩動物公園に至る.この動物公園は当時の地元七生村長の誘致運動があり,28.7haの土地を提供されたので,新しい都立動物公園建設の話がまとまり,1958年(昭和33)5月5日に開園の運びとなった.53haの広い園内には,ライオンの放し飼い地区があって見物バスを乗り入れたり,小動物を放し飼いにするなど趣向をこらして人気を高めた.京王電鉄も高幡不動駅から動物公園線を延長し,動物園側も1969年(昭和44)には昆虫館を新設したりして,入園者数は1959年(昭和34)の80万人(うち無料16万人)が,1978年(昭和53)には172万人(うち無料95万)へと増加している.

 百草園は松蓮寺が明治初年に神仏混合のために焼失した跡地に,横浜の貿易商が新たな造園をして一般レクリエーション客に開放したもので,明治以後多くの作家が訪れ,多摩川河畔の行楽地として有名になり,現在ではウメの名所となっている.その南に続く百草八幡宮境内には常緑広葉樹のシイノキの群落があって貴重な緑な形成している.高幡不動堂は成田山・大山とともに関東3不動の一つで,楼門・本堂ともに国の重要文化財に指定され,参詣客が多い.

 多摩市にある明治天皇ゆかりの多摩聖蹟記念館は,サクラ・ツツジの花見にもよい.多摩川の河川敷では,各地に公共の運動場や公園が開設されており,堤防上には両岸ともサイクリングロードが走っていて,近隣地域住民の手軽なレクリエーションに利用されている.なお,対岸の府中市には東京競馬場や多摩川競艇場があって,多くの観客を集めている.



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4.3 中流地域のレクリエーション地