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最近10カ年間ぐらいの間に多摩川水系で採集,記録された魚類(円口類を含む)は上記のとおり16科35属41種および亜種となる.これらのうち外国からの移殖はニジマス,タイリクバラタナゴ,カダヤシ,オオクチバスおよびカムルチーの5種および亜種,国内の他の水系から移植されたものはアマゴ,タモロコ,ホンモロコ,ツチフキ,ゼゼラ,カワムツ,ハスおよびゲンゴロウブナの8種および亜種である.
この他に大島(1957)はヤリタナゴ−Acheilognathus lanceolata(Temminck et Schlegel),ボラ−Mugil cephalus Linnaeus,タマバヤ−Biwia tama Oshima,シライムギツク−Pungtungia shiraii Oshimaの4種を記録している.これらのうちヤリタナゴは筆者も1935年ごろまではよく目撃したことがあり水質汚濁が現在のように進行していなかった当時はまだ残存していたことであろう.ボラは汽水域には現在でも海から入り込むと思われるが,他の2種はいずれも同定の誤り(タマバヤはヒガイ,シライムギツクはニゴイの誤り)と思われる.ヒガイ内)−Sarcocheilichthys variegatus(Temminck et Schlegel)は当時は恐らく他水系から移殖されたものが採集されたと考えられる.梶川(1974)はシナイモツゴ−Pseuborasbora pumila Miyadiを府中市地先で記録しているが,恐らくモツゴの誤認と私は推察している.中村(1976)はブラウントラウト−外)Salmo trutta Linnaeusおよびシロヒレタビラ−Acheilognathus tabira tabira Jordan et Thompsonの2種を記録している.これらのうちブラウントラウトは都水試奥多摩分場よりの逸脱魚であり,シロヒレタビラは琶琵湖産稚アユに混じって放流されたものの再採捕と考えられ.いずれもこの水系で繁殖しているものとは推定しにくい.都水試(1982)にはヒメマス内)−Oncorhynchus nerkaを1959,1961,1964年の3回にわたり奥多摩湖へ放流したが,以後採集されたことがなく,本湖へは定着しなかったと推定している.また都水試(1982)は奥多摩湖からソウギョ外)−Ctenopharyngodon idellus(Cuvier et Valenciennes),ハクレン外)−Hypophthalmichthys molitrix(Cuvier et Valenciennes),ウツセミカジカ内)−Cottus reini(Hilgendorf)およびスジシマドジョウ内)−Cobitis taenia striata Okada et Ikedaの4種および亜種を記録しているが,いずれも同湖での自然繁殖は認められていない.
以上を要約すれば現在の多摩川水系の魚類は在来種,国内の他水域からの移殖種および外国からの移殖種の3群に大別される.そして環境の変化や増殖事業による移植などによりこれらの魚種の消長は時々刻々と変化して極めて流動的ということができよう.