2.2 空間環境管理計画の概要
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2.2 空間環境管理計画の概要

 空間管理計画策定に当たっての基本理念は,@多摩川と市民のふれあいの場を提供する.A多摩川らしさを維持していく.B多摩川らしさを活用するの3点とし,多摩川の河川空間を都市域の生活環境の保全ないし整備に役立たせるために,多摩川の中でも特に都市化が進み,都市住民とのかかわり合いの深い河口から青梅までの約62kmの区間について,河川敷整備のマスタープランを作成することとしている.

 この場合,空間計画を検討する立場から機能空間を考えると,河川空間の利用にかかわる利用型,自然環境の保全にかかわる保全型,例えば景観等河川像に関する総合型,さらに防災,公害緩衝,気候調節,地理的目安等河川空間が存在するだけで機能し,空間計画とはかかわりあいの薄い存在型に大別することができ,さらに利用型については,河川空間の積極的整備が必要となる人工指向型と,自然空間の存在を利用する自然指向型とに分けられる.本計画においては,序説に述べた河川環境因子の基本項目に入っている防災機能を除き存在型は対象外とし,また,総合型に属する景観については配慮事項として考えることとし,対象機能空間を表9.5.1に示す8空間とした.

 次に,マスタープランとしては,個々の地区の整備の方向を示すことが最終目標となるが,62kmの長区間にわたり最初から個々の地区を検討することは,全体像の把握も困難であり,また,多摩川全体としての調和も図り難くなる恐れがある.したがって計画策定の手法としては,まず第1段階として,河川空間を幾つかのゾーンに分け各々の性格づけを行うことによって利用と保全の調和を図るゾーンニング構想を立案し,次いで第2段階として,個々のゾーンについて,そのゾーンの地区特性等を考慮しつつさらに細かい地区分けを行い,人工的利用と自然的利用,地先利用と広域利用等の調整を図った機能区間配置計画を立案することとした.

 ゾーンタイプとしては表9.5.2に示す5タイプを設定したが,ゾーンニング策定のフローは図9.5.1に示すとおりで,河川内条件と利用要請の度合いを調整しつつ,最終的には,定量的に有識者アンケートの結果を尊重するようなゾーン配分を行った.実際の作業は,初めての試みであり,トライアルアンドエラーを繰り返しつつ,表9.5.3に示すような結果が得られているが,詳細については本報告書によって戴きたい.

 ゾーンニングに続く機能空間配置計画策定のフローは図9.5.2に示すようなものであるが,基本的な考え方としてゾーンと機能空間の適合性については,図9.5.3に示すとおりである.このうち生態系保持空間については,その機能がひとたび失なわれれば回復は難しく,自然環境という面からのキーポイントであるので,優先的に先取りしている.

 それ以外の人工指向型か自然指向型か,地先型か広域型かについては,各人各様色々な考え方があろうが,ゾーンニング構想の大枠としては表9.5.4のように考え,後は図9.5.2のフローの中に示されている色々な項目を勘案しつつ,沿川自治体の意向を尊重し計画した.その内容についてもゾーンニング同様本報告書を参照されたいが,最終的な結果として得られた人工指向空間と自然指向空間の数字,比率は表9.5.5に示すとおりである.なお(注)にあるのは,「河川敷地占用許可準則」によって占用を禁止されている水際線から10mの間を,実質的に緑の空地として自然指向型と考えた場合のものであるが,各ゾーンとも表9.5.4に示された大枠を護った結果が得られている.

 多摩川空間管理計画策定の概要を紹介してきた中で治水には触れなかったが,治水は最優先で現計画を尊重するとの大前提に立っているからである.しかしながら河川環境保全という面からして,治水にも改善されるべき余地は残されているであろう.第2部第4章の“多摩川環境管理の望ましいあり方”においては,現状では行われてないことを,治水・利水も含めて将来への課題として問題を投げかけており,河川環境問題の将来に重要な意味を持つと思うので,特に項を設けて紹介することとする.



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